めまい

最近のめまいの傾向

当院では、難聴・耳の不調の患者さんの過半数がめまいの症状を伴っています。10年前は、めまいと言えば高齢者の方々に多い症状でしたが、最近では若い方を中心にしたあらゆる年齢層にみられます。

この現象はスマホやゲームの普及と無縁ではないと思われます。「ITめまい」と名付けてもよいのではないかという感想を持っています。

めまいの種類

めまいとは、自分や周囲が動いていないのに、動いているような感覚を総称して言います。

現れる症状から大別して、めまいのタイプは3つあります。

①グルグル回るめまい

自分や周囲の景色がぐるぐる回るように感じるタイプ。突然ぐるぐる回る激しいめまいが起こり、吐き気を伴ったり、実際に吐くこともあります。多くは、体のバランスを保つ耳の器官に原因があって起こるものです。突発性難聴メニエール病の発症時に、急激な聴力低下とともに併発こともよくあります。

②フワフワするめまい

体がフワフワ、フラフラと揺れているように感じるタイプ。慢性的なめまいを伴う難聴の患者さんに比較的多い傾向があります。その他、過労や睡眠不足、ストレス、不安が原因で起こることが多く、まれに脳の病気が原因で起こることもあります。

③クラッとするめまい

いわゆる「立ちくらみ」のことで、立ち上がった時にクラッとしたり、目の前が暗くなるタイプ。脳の血流量の一時的な低下が原因といわれています。

耳の病気由来のめまいとハリ治療

耳の病気からくるめまいには、耳鳴りと難聴を伴う「内耳性のめまい」、他の症状を伴わない「前庭性のめまい」の2つがあります。
内耳性のめまいには、メニエール病突発性難聴外リンパ瘻などがあります。いっぽうの前庭性のめまいには、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎などがあります。

当院では、氷のうで頭部を冷やす、無理な体位変換は行わない、ひどいめまいの場合は嘔吐袋をご用意する、ベッドの起き上がり時は眼振(目が小刻みに動く)チェックするなど、万全のフォロー体制で施術を行っています。めまいの程度を見計らいながら、もみほぐしの代わりに軽擦法(さする)を行う場合もあります。

なお、外リンパ瘻の重症例は、耳孔をふさぐ手術が必要になることがあります。その場合は、当院で信頼のおける病院にご紹介しております。

ハリ治療に適さないめまい

モノが二重に見える、手足や顔のしびれやマヒが体の片側に出ている、ろれつが回らない、努力しても立つことができない、激しい頭痛を伴う、意識がもうろうとしている、後頭部の首の付け根に激しい痛みがある、といった場合はハリ治療が適しません。すぐに救急車を呼んでください。

日常生活のコツ

エレベータや電車の中など動くところでのスマホの使用を避けること、症状のある耳を下にした姿勢を取らないこと、症状のある耳の側に首をねじらないこと等の工夫によって、めまいを防止できることがあります。

詳しくは「めまいの方に避けてほしい行動」をご参照ください。

セルフケア

耳からくるめまいの原因は内リンパ水腫(内耳が水ぶくれになること)と言われています。その解消法のひとつとしておすすめしているのが、内耳の循環を促す「アクアウォーキング療法」です。

また、当院では、めまいは心身のSOSととらえています。治療と並行して、日々の「症状記録」をつけて仕事や生活習慣を見直すことも大切なポイントです。

突然、めまいが起こったら

慌てず、楽な姿勢で横になり頭を少し高くして氷のうなどを使って冷やしてみましょう。部屋を暗くしてアイマスクなどをすると良い場合もあります。吐き気を催すこともあるので、洗面器等を用意すると安心です。一般的に、2~3時間で症状が治まることが多いようです。

なお、「ハリ治療に適さないめまい」に明記している症状を伴う場合は、重篤な病気が考えられます。すぐに救急車を呼んでください。